第25回定期演奏会

 

 日時  2010年3月28日(日)
14:00開演(13:30開場)
 会場 羽生市産業文化ホール 大ホール
 入場料 前売 一般 2,000円 学生 1,000円
当日 2,500円
全席自由
 管弦楽 東京アカデミック交響楽団
 ソリスト ソプラノ:萩原 みか
アルト:河野 めぐみ
テノール:岡本 泰寛
バス:秋本 健
 曲目 交響曲第7番(ベートーヴェン)
悲歌(ベートーヴェン)
ミサ曲 ハ長調(ベートーヴェン)
アンコール:津軽海峡冬景色
       荒城の月(瀧廉太郎)


 

交響曲第7番 イ長調作品92

ベートーヴェンの交響曲の中でも最もリズミカルな作品である。第5番『運命』や第6番『田園』におけるさまざまな新たな試みの後に、再び正統的な手法による交響曲に回帰した作品であり、9つの交響曲中最もバランス感覚に優れた作品といえる。

作曲は1811年から1812年にかけて行われ、初演は、1813128日、ウィーンにて、ベートーヴェン自身の指揮で行われた。同じ演奏会で初演された、対ナポレオン戦における勝利を記念して作曲された「ウェリントンの勝利」のほうが聴衆の受けはよかったとされるが、それでも初演は成功であり、第2楽章はアンコールを求められた。

音楽家からの評価はさまざまである。ワーグナーは各楽章におけるリズム動機の活用を指して、この曲を「舞踏の聖化」と絶賛している。その一方で、ウェーバーは「ベートーヴェンは今や精神病院行きだ」との言葉を残し、20世紀を代表する指揮者の一人ワインガルトナーは「他のいかなる曲よりも精神的疲労を生じさせる」と語っている。日本ではドラマ「のだめカンタービレ」のテーマ曲として一躍有名になった。

悲歌 作品118

ベートーヴェンがウィーンに住んでいたころ、借りていた家の大家夫人が亡くなり、その死を悼むために書かれた曲。「悲歌」と題されているが、陰鬱とした悲しみではなくて透明かつ穏やかな悲しみに彩られた曲。作者不詳の歌詞が用いられており、その内容は「君は穏やかに人生を完結した。嘆くにはあまりに聖らかだ。天の霊が故郷に帰るのだから、誰の目にも涙は流れない」というもの。

ミサ曲 ハ長調作品86

この曲はエステルハージ侯爵ニコラス二世夫人、マリア・ヘルメンギルトの洗礼名の祝日のために1807年に書かれた。初演は1807年9月13日にエステルハージ一家が避暑に来ていたアイゼンシュタットのベルク教会で行われたが、侯爵からは酷評されてしまった。気分を害したベートーヴェンは後年、このミサ曲の楽譜を出版されるときに献呈者をエステルハージ侯爵からキンスキー公爵に変えてしまった。

しかしベートーヴェンはかなりこの曲に自信を持っていたらしく、書簡の中で「誰もやらなかった仕方で歌詞を扱った」と語っており、強調すべき言葉と音の高低を見事に一致させている。たとえば3曲目、クレドでは、「天」(coeli)と「地」(terrae)や、「生きる者」(vivos)と「死せし者」(mortuos)を「裁く」(judicare)を、音の高低で違いを表現し、「見えるもの」(visibilium)と「見えないもの」(invisibilium)を強弱で差をつけるなど、細かな工夫が随所にみられる。

後の大作であるミサ・ソレムニスに比べればいくぶんマイナーではあるが、この曲が書かれたのは交響曲第3〜6番やオペラ「フィデリオ」、ヴァイオリン協奏曲などを生み出した、いわゆる「傑作の森」の時期にあたり、最も充実していた時期の作品といえる。
 

アンコール
津軽海峡冬景色
荒城の月:瀧廉太郎




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