第37回定期演奏会 サマーコンサート

 

 日時  2016年6月12日(日)
13:30開場 14:00開演
 会場 羽生市産業文化ホール 小ホール
 入場料 500円
 ピアノ 木村由美、金田萌子
 指揮  增田一揮
  後援  羽生市教育委員会/羽生市民音楽協議会

プログラム

〔第1部〕 合唱 

シューベルト特集      ・・・木村由美、金田萌子(ピアノ)
・アヴェ・マリア(歌曲集「湖上の美人」より) 
・セレナード(歌曲集「白鳥の歌」より) 
・菩提樹(歌曲集「冬の旅」より) 
・男と小川(歌曲集「美しき水車小屋の娘」より)



〔第2部〕 ソロ演奏
・O sole mio(オー・ソレ・ミオ)(カプア作曲)・・・鈴木泉美(独唱)/吉野莉紗(ピアノ)    
・歌劇「つばめ」より“ドレッタの美しい夢”(プッチーニ作曲)・・・鈴木泉美(独唱)/吉野莉紗(ピアノ)
・歌劇「ルサルカ」より "月に寄せる歌" (ドヴォルザーク作曲)・・・伊藤静香(独唱)/金田萌子(ピアノ)
・組曲「くるみ割り人形」より”花のワルツ”( チャイコフスキー作曲)・・・金田萌子、吉野莉紗(ピアノ) 

〔第3部〕 合唱
フランスの詩による合唱曲集「月下の一群」(混声版)
 (堀口大學 訳詞/南弘明 作曲/中村順一 編曲)
・・・木村由美(ピアノ)
Ⅰ.小曲
Ⅱ.輪踊り
Ⅲ.人の言うことを信じるな
Ⅳ.海よ
Ⅴ.秋の歌 

アンコール
・うた(佐藤信 作詩/林光 作曲)



曲目解説

【アヴェ・マリア】 
スコットランドの詩人ウォルター・スコットによる叙事詩をもとに作曲された歌曲集「湖上の美人」の中の1曲「エレンの歌第3番」が「シューベルトのアヴェ・マリア」として定着しました。王から追われる身となった「湖上の美人」ことエレン・ダグラスは、聖母マリアに助けを求めて祈りの言葉を口ずさみます。

【セレナード】 
シューベルト遺作集「白鳥の歌」の中の一曲です。セレナードとは、恋人の家の窓の下に立って愛を訴える歌の総称であり、曲形式を特定するものではないため様々な形式が存在します。シューベルトのそれは、セレナードの特性に従ってギター風の伴奏をもちます。情熱を内に秘め、やさしく訴えかける旋律は甘美にして清らかです。

【菩提樹】
歌曲集「冬の旅」の中の一曲です。失恋した若者が絶望の中、死を念頭にさすらいの旅を続け、様々な人物や風景と出会う物語です。「菩提樹」はもっとも有名な曲で、かつて若者が甘い思い出にふけっていた菩提樹を通り過ぎると、枝の不気味なざわつきが、若者を誘います。思いを振り切って離れても、菩提樹は「戻ってこい」とささやきかけます。

【男と小川】
歌曲集「美しき水車小屋の娘」の第19曲です。「修業の旅に出た粉職人の若者が、美しい水車小屋の娘に恋をするが、狩人が現れて彼女を奪っていき、悲しみに打ちひしがれた若者は小川に語りかけ、永遠の眠りにつく」という物語からなり、恋に破れた青年が小川に語り掛けると、小川もそれに応え、そこに安らぎがあることを見出し、身を投じることを決意します。

【月下の一群】
訳詞集「月下の一群」は、明治から昭和にかけての詩人、歌人、フランス文学者である堀口大學が、外交官である父親に従ってヨーロッパに滞在していた際に出会った、フランスの詩人66人による340篇を、日本語に翻訳して日本に紹介した詩集です。南弘明はその中から5篇を選び、男声合唱用曲集として作曲しました。その後混声合唱への編曲を促す声がありましたが、男声合唱の響きに固執する南は編曲を辞退しました。そこで友人である中村順一が編曲に名乗りを上げ、南の了承を得たうえで混声合唱版が完成しました。

月下の一群 歌詞(堀口大學 訳) 

Ⅰ 小曲(フィリップ・シャヴァネックス詩)

目を開くと 私には景色が見える
目を閉すと 私にはお前の顔が見える

Ⅱ 輪踊り(ポール・フォール詩)

世界中の娘さんたちがみんな 
手をつなぎ合う気にさえなったら
海をめぐって輪踊りを 
踊る事さえ出来ように

世界中の若者たちがみんな 
船乗りになる気にさえなったら
海に綺麗な舟橋を 
かけることさえ出来ように

世界中の人たちがみんな 
手を握り合う気にさえなったら
地球をめぐって輪踊りを 
踊る事さえ出来ように

Ⅲ 人の言うことを信じるな(フランシス・ジャム詩)

人の言うことを信じるな乙女よ 
恋を訪ねて行かぬがよい 恋はないのだから
男は片意地で男は醜く 
そうして早晩お前の内気な美質は
彼等の下劣な欲求を嫌うだろう

男は嘘ばっかりを言う 男はお前を残すだろう 
世話のやける子供とー緒に囲炉裏のそばに
そうして晩飯の時刻になっても
男の帰って来ない日には お前は感じるだろう
自分が祖母のように年老いたと

恋があるなぞと信じるな おお 乙女よ 
そうして青空で上が一ぱいな果樹園へ行って
一番によく茂った薔薇の木の中に 
一人で網を張って一人で生きている
あの蜘蛛を見るがよい

IV 海よ (催眠歌)(アンドレ・スピール詩)

海よきかせておくれ お前が転がしていた 
碩(こいし)のことを… 
お前はいつまでも飽きないか?
お前が砕いて砂にする岩のことを 
お前の波のことを お前のしぶきのことを
お前の泡のことを お前の匂いのことを 
お前の露が島に芽生えさせ
お前の風がいじめる松の木のことを 
牛乳のようなお前の夜明のことを
お前の中に生れ殖(ふ)えて 
そうして揺れている 魚のことを 貝のことを
藻のことを 海月(くらげ)のことを 
そうしてお前の中に死んでゆく諸々のことを…
お前は何時までも飽きないか? 
きかせておくれ お前をひきつける青空のことを
お前の水に水鏡したがる星のことを 
お前の波は休みなくその影をくずしている
夜明にお前をのがれ お前を呼吸し 
お前をひきずる太陽のことを
夕暮 お前は太陽を自分の臥床に
引止めて置きたいのだが 
太陽はいつも逃げてしまう
きかせておくれ 碩(こいし)のことを 
お前はいつまでも飽きないか?

V 秋の歌(ポール・ヴェルレーヌ詩)

秋風の ヴィオロンの
節ながき啜泣き 
もの憂き哀みに わが魂を 痛ましむ

時の鐘 鳴りも出ずれば 
せつなくも胸せまり 
思いぞ出ずる 
来し方に 涙は湧く

落葉ならね 身をば遣る 
われも かなたこなた 
吹きまくれ 逆風よ




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